母国アメリカを脱出し、ヨーロッパに活動の場所を移したジャズ・ミュージシャンは数多い。バド・パウエル、デクスター・ゴードン、デューク・ジョーダン、マル・ウォルドロンなど、挙げればきりがない。ケニー・ドリューもその1人だ。黒人ジャズメンにとって、人種差別の横行する母国より、自由な空気が流れるヨーロッパのほうが断然快適だったのである。
ドリューは60年代半ば以降、コペンハーゲンを活動の本拠にした。そのため『ダーク・ビューティ』をはじめとする一連のスティープルチェイス盤、また80年代以降の日本制作盤により、女性に愛されるピアニストのナンバー・ワンになった。
それはそれですばらしいが、本来この人は生粋のハード・バッパーであり、豪快にスウィングするピアニストだった。そういう演奏が聴けるのは、渡欧前に録音されたものだ。なかでも56年に当時のマイルス・バンドの2人、ポール・チェンバース&フィリー・ジョー・ジョーンズと組んで録音した本作には、ドリューの神髄が記録されている。はつらつとした演奏だ。(市川正二)

 ・ amazon : Kenny Drew : The Kenny Drew Trio (1956)

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ディスク:1
1. Caravan
2. Come Rain or Come Shine
3. Ruby, My Dear
4. Weird-O
5. Taking a Chance on Love
6. When You Wish Upon a Star
7. Blues for Nica
8. It’s Only a Paper Moon

ディスク:1
1. キャラヴァン
2. 降っても晴れても
3. ルビー・マイ・ディア
4. ウィアード・オー
5. 愛のチャンス
6. 星に願いを
7. ブルース・フォー・ニカ
8. イッツ・オンリー・ア・ペーパー・ムーン